3DプリンタでIPロボットフォンの修理
IPロボットフォンの修理Togtter(3Dプリンタで壊れた玩具を修理http://togetter.com/li/525141)が好評っぽいのでちょっとまとめて見ました。
IPロボットフォンはクマのぬいぐるみの形をしたロボットで、インターネットを介して相互に動作をを伝えることができます。
両腕と首を動かすことができ、言葉だけでなくしぐさの表現やお互いがロボットを握っていれば動かそうとする力を伝え合うことができるというものです。
メーカWebサイトがすでに無いためにインプレスの紹介記事へのリンクhttp://bb.watch.impress.co.jp/cda/items/4299.html
ところがこのロボットに関節部品が折れやすいという弱点があり、しかも製造元会社がなくなってしまい修理部品が手に入らない状況になってしまいました。
腕パーツを外して破損状況を確認します。
二つのパーツをねじで結合する形になっているけど、ねじ穴があるせいでそこに力が集中して簡単に折れてしまうことがわかりました。
まず修理部品の設計方針として軸部分の強化・一体成型を考えましたが、溶解樹脂積層式の3Dプリンタでは縦方向の解像度が足りないため、この形を一体成型で作るには光造形3Dプリンタが必要となり、試しに造形したもののコスト・出力時間ともにかかりすぎるので却下です。
また元設計が分割にしているのにはわけがあり、一体成型にしてしまうと組み立て不可能なこともわかりました。
そこで再設計。
- 2分割とすることで溶解樹脂積層式でも十分な解像度でギヤの造形が可能
- 元設計ではねじ固定となっているがここのねじを外す必要があるのは破損した時のみでメンテナンスには影響しない→接着してしまってよい
- 接着するので元の形にとらわれず強度の高い横方向造形
最終的に下の二つの形になりました。
実際に3Dプリンタで造形したものと元パーツ(破損していないもの)
組み立てていきます
アクリル用溶剤系接着剤を流し込みつつ二つのパーツを合体させます。
溶剤系接着剤での接合面は完全に融着するので、縦横の造形面を組み合わせると元よりも強度が上がります。
腕パーツの再組み立て完了
ロボット本体に戻してあげれば完成です。
今回は強度UPもかねているので全部の関節パーツを交換しました。
これで無事完成です。
使用した3DプリンタはDimensionSSTと高価なものですが、積層方向を工夫してあるので、解像度が0.01インチよりも細かいものであれば安価な3Dプリンタでも十分出力可能です。
最後に関連写真とボツになった光造形歯車の写真を。